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2003.12

 
(7) 四誓偈 (しせいげ)

「開経偈」に続いて読まれるお経はいくつかありますが、最もよく読まれるお経は『四誓偈(しせいげ)』というお経です。『四誓偈』は、『無量寿経(むりょうじゅきょう)』という長いお経の中の一節で、『無量寿経』のいわばエッセンスです。
さて、『四誓偈』を読んでゆく前に、少し長くなりますがこの『無量寿経』の始めの部分をみてみましょう…。

あるときお釈迦さまは、1万2千人の比丘たち、また多くの大乗の菩薩たちとともにおられました。
お釈迦さまのお姿やお顔は、ふだんにもまして清らかで輝いています。
比丘の一人、アーナンダがそれをお釈迦さまに申し上げると、お釈迦さまはそれに答え、
「目覚めたる者(仏)は、もしも望むならば、どんなに長くでもこの世にとどまることができる。しかも、その容姿が衰えることはないであろう。なぜなら、目覚めたる者の心の安定と智慧は、極まりのないものだからである。
わたしは今、汝がために、ある目覚めたる者(仏)についての話を説こう。」
と言われ、「ダルマーカラ(法蔵)」という名の修行者についての物語を始められました。

「アーナンダよ、はるかかなたの時代から、53人の目覚めたる者が次々と世に現れた。そして、その次に現れた54番目の仏―それが『世において自在である王』という名の仏だ。
この仏の時代に、ある国王がいた。国王はこの仏の説法を聞き、発心、すなわち覚りを求める心をおこす。彼は国を捨て王位を捨てて、「ダルマーカラ(法蔵)」という名の修行僧となった。ダルマーカラはこの仏のみもとに参り、
『わたしもあなたと同じような仏となり、智慧を極め光明を放って、苦しんでいる人々をすくい取ろうと思います。わたしが仏となったときは、比類のない最上の仏国土を建設するつもりです』
と言った。仏はこの言葉を聞き、彼の志の深さを知る。そしてその力をもって、210億という大変な数の仏国土のようすについて、ダルマーカラに説き、示された。
ダルマーカラはそれらの国土について学び、さらにそののち長い年月(五劫)のあいだ思惟を重ね、やっと願いにかなうような完全な仏国土を思い描くようになる。
このとき仏は修行僧にこう言われた。『それでは修行僧よ、その仏国土について説くがよい。』

(つづく)

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