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2004.02

 
(8) 四誓偈 (しせいげ) その2

昨年12月の続きです。「四誓偈」解説の前段階、『無量寿経』についてのお話を続けましょう。
登場人物は、「世において自在である王」という名の仏(世自在王仏)、その弟子である修行僧ダルマーカラ、そしてこの物語を語るお釈迦さまと、それを聴くアーナンダほかのお弟子たちです。

修行僧ダルマーカラは、自分の思い描く完全なる仏国土(それは、自ら建設せんとする仏の世界です)について、説きはじめます。
「『では世自在王仏よ、お聞き下さい。私が覚りを得たときには、その仏国土は次のようなものになるでしょう。』
そして、アーナンダよ(ここからはお釈迦さまの言葉です)、かの修行僧ダルマーカラは、48の誓いを宣言する。自分が覚りをひらいたならば、この48の誓いが実現するような仏国土を必ず建設する、という誓いだ。
その1番目はこういうものだ―『この仏国土には、3つの苦しみの境遇(地獄・餓鬼・畜生)はない。』そして2番目は、『この仏国土に生まれた者は、そこから死没して3つの苦しみの境遇に落ちることはない』という誓いだ。
そして次々に誓いが宣言され、18番目には次のような誓いがたてられる。
『人々が私の仏としての名を10回声に出してとなえ、この仏国土に生まれたいと真実に願うならば、必ず生まれることができる。』(この誓いに基づき、浄土宗ではお念仏を第一の行としています)
19番目―
『人々が覚りを求める心をおこして、もろもろの功徳を修め、この国に生まれたいと願うとしよう。その人の命が終るときは、私が菩薩たちや修行僧たちとともにその人の前に必ず現れる。』
20番目は、
『人々が私の名前を聞いてこの仏国土に思いをかけ、もろもろの功徳を積んで、その功徳を心から回し向けてこの国に生まれたいと願えば、必ず生まれることができる』
と続き、48までその誓いが宣言される。
こうしてダルマーカラは48の誓願を説きおわり、さらに続いて詩句をもって説いたのが『四誓偈』だ…」

というわけで、『四誓偈』はダルマーカラ(法蔵菩薩)がたてた48の誓いを要約したものと考えてよいでしょう。 『四誓偈』の内容については、次回の解説でみていきます。

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