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2007.11

 
廻向発願心(えこうほつがんしん)

(今回のコラムは、平成19年 (2007年) 7月および8月のコラムの続きです)

「かの仏の国に生まれようと願う者は、三つの心を発(おこ)すべきである。」

今月は、三番目の廻向発願心(えこうほつがんしん)です。

「廻向発願心と申すは、これ別のこころにては候わず。わが所修の行を一向に廻向して、往生を願うこころなり。」(法然上人)

もう少し詳しくいいますと、
「自分が前世や今の人生でおこなってきた善行や、仏教修行の功徳のすべてを想い起こしなさい。
さらに、他の人々が重ねてきた善行や、修行の功徳をも想い起こしなさい。
それらをすべて、自分の心の中に運び入れて、今は極楽往生のための強い願いとして、念仏の行に励みなさい。」
ということです。自分自身や周囲の人々の一切の善なる功徳を、往生の願いにつなげてゆきなさい―
これが廻向発願心です。

至誠心、深心、廻向発願心、と解説めいたことを書いてまいりましたが、詮ずるところ、一に真実の心、二に凡夫往生を深く信ずる心、三に往生を強く願う心…これが念仏者がそなえるべき三つの心(三心―さんじん)です。
法然上人が三心についてまとめて語られている文を以下に載せて、このテーマを締めくくりましょう。


内容とは直接関係しま
せんが、今月の掲示です

  • 「三心は、心から極楽往生を願ってお念仏を称えている人には、おのずとそなわるものである。」
  • 「三心は、その名称すら知らない人にもそなわるものだ。だが、細かくその内容を理解している人の中にも、知的な理解通りにはそなわっていない人もいる。」
  • 「三心が欠けている、と感じたならば、そなわるようにと心を奮い立たせて、お念仏に励みなさい。」
  • 「阿弥陀さまのお約束を頼りとして、ひたすらお念仏を称えなさい。そうすれば、三心は自然にそなわってくるものだ。」
  • 「心に『阿弥陀さま、お救い下さい』と思い、口に『なむあみだぶつ』と称える。これを、三心がそなわった名号という。」

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