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Q&A 16

質問16

仏事一般
合掌にも決まったやり方があるのでしょうか?
〈回答 16〉 理想的な合掌は、「宗教的な感情が胸いっぱいに満ちあふれ、しらずしらずのうちに両手が合わさっていた」という合掌です。このような合掌は形式を超えています。単なる手の形、というのでなく、むしろその人の存在全体、身も心もすべて——その隅々までがすべて合掌している、それが手の形にも表れている——そのような合掌です。
しかし、(大方は)そこまでいかぬ私たちには、形がとても役に立ちます。
心の状態は身体的な姿勢と深く関わっています。例えば、心が卑屈になると身体も縮こまって小さくなる。心が晴れ晴れとしていれば、背筋が伸びて身体が大きく広がったようになる。隣に座っている人に好感を持っているときと、反感を持っているときとでは、あなたの姿勢はまったく違います。顔の表情も、身体の姿勢の一部です。あなたの心の状態は、顔の筋肉の動きにみごとに表れています。
そして... 逆も成り立ちます。身体がある姿勢を取ると、心もそれに応じた状態になりやすくなる。合掌をすると、心にも敬虔な感じや、祈り、感謝といった感情が生じる。頭を下げると、心もそれに応じて変化する。「合掌しながら怒ることはできない」といわれます。その通りですね。
ですから、合掌をする習慣をつける、ということは、手を合わせる心を知る、ということにつながるとても大事なことなのです。形を身につけることによって、心を豊かにすることができる、といってもいいでしょう。
では、決まったやり方があるのか。
浄土宗の場合、宗訂といって宗で決められたやり方があります。私たち僧侶はそれを学びます。一般の皆さん方が厳密になる必要は全くありませんが、難しくはないので、ご参考までにご紹介します。
両手の指を、それぞれすべてまっすぐ揃えてつけます。そして両手の手のひら、指をぴったりと合わせ、胸のあたりに保ちます。手の角度は横から見て45度くらい——僧侶たちはこのように指導を受けます。試してみて下さい。

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