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Q&A 23

質問23

仏事一般
仏壇を置こうと思うのですが、注意点を教えて下さい。
〈回答 23〉 「仏壇とは何か?」をまず考えてみましょう... それは、いわばお寺の本堂のミニチュアです。
お寺には、本堂があります。ご本尊さまがおられ、その周りに色々な飾りがしつらえてあります。本堂に上がりご本尊さまと対すると、何ともいえない荘厳な感じに打たれることでしょう。
仏壇は、ご家庭の中にあって、しかもお寺の本堂を模した空間です。(浄土宗の)お寺の本堂は極楽浄土をかたどったものであり、仏壇もまた同じ。ご本尊阿弥陀仏のお導きのもとで、ご先祖と対話ができる創造的な場です。仏壇を置こうと思われるには、何かきっかけがおありになったのかも知れませんが、極めて尊いことです。実際に仏壇を求め、形を整えてその前で手を合わせてごらんになれば、何もなくただ心で仏やご先祖を思うのとは大きく違うことを実感されるでしょう。
よくご質問を頂く点について、一般的なことを書いてみます。詳細は菩提寺にご相談下さい。
  1. 仏壇を置く場所はどこにしたらいいか。方角はどちら向きがいいのか。
  2. 新たに仏壇を置くときは、お坊さんに来ていただいてお経を上げてもらうものなのか。
  3. 引越しをするが、仏壇を移動するときもお経を上げてもらったほうがいいのか。
  4. 古い位牌がたくさんあって、仏壇の中がいっぱいになってしまったが...。
  5.  一つの仏壇に、違う家(例えば妻の実家)のご先祖を祀ってもいいのか。
  6. 家族の誰かが亡くなったとかいうことはないのだが、仏壇を求めてもよいのか。
  • まず1。仏壇を置く場所はどこにしたらいいか。方角はどちら向きがいいのか。
    仏壇を置く場所は、もし選べるのであれば、部屋の西側(ご本尊は東向きになる)、または北側(ご本尊は南向きになる)がよいとされています。その理由は、まず西側に仏壇を置けば、西、つまり極楽浄土がある方向に向かってお参りできる。また、直射日光が仏壇に当たるのを避ける、という点からは北側がよい、というものです。「君子は南面す」——貴い人は南向きに居を構える、ということも、北側に仏壇を置く理由の一つです。
    しかし、西側や北側に適当な場所がなければ、この限りではありません。むしろ、落ち着いた気持ちでお参りできる場所がいい。たとえば、廊下などの通り道は避ける、トイレや風呂場の前を避ける、静かな場所を選ぶ、という風に常識的に考えて頂ければ結構です。お客さんや菩提寺住職がお参りされる、ということも考えにいれて決めましょう。
  • 次に2。新たに仏壇を置くときは、お坊さんに来ていただいてお経を上げてもらうものなのか。
    そうです。新たに仏壇を求められたときには「開眼法要(かいげんほうよう)」といって、新しいご本尊やお位牌に魂をお入れする儀式を行ないます。菩提寺にご相談されたらよろしいでしょう。菩提寺のない方は、同じ宗派の近所のお寺に相談して下さい。浄土宗であれば当庵でもお受けします。
  • そして3。引越しをするが、仏壇を移動するときもお経を上げてもらったほうがいいのか。
    仏壇やご本尊の移動の際は、「遷座法要(せんざほうよう)」をするのが丁寧ですが、お引越しの多いご家庭もあることですし、私は必ずしも必要ではないと思います。
  • 4。古い位牌がいっぱいになってしまった場合。
    いくつかの方法があります。
    1. ご夫婦(例えば、おじいちゃんとおばあちゃん)のお位牌を一つにまとめる。
    2. 「○○家先祖代々之霊位」の位牌をひとつ作り、古いものをそれにまとめる。古い位牌に書かれた個々の霊の戒名や命日、俗名、行年、関係などは、過去帳を作ってそこに記録しておく。
    3. 「繰り出し位牌」といって、沢山の位牌をひとつにまとめられるようになった位牌があるので、それを求める。
    仏具屋さんに足を運んで実際にご覧になってはいかがでしょうか。手に取ってみれば、すぐ「ああ、こういうものか」とお分かりになるでしょう。いずれの場合も、古い位牌から新しい位牌に魂を移す作法があります。2と同じく、お経を上げてもらって下さい。
  • 5について。一つの仏壇に、違う家の位牌を祀ってもよいのか。
    「他家の位牌を祀ってはならない」といわれますが、今は家族構成など昔とは事情が違いますので、宗派が同じであれば構わないと思います。
    宗派が違う場合は、いろいろな状況がありうるので、慎重にすすめて下さい。このことに関連した質問・回答が〈質問 25〉にありますので、ご参考になさって下さい。
  • 最後に6。特にどなたかが亡くなったということでなくても、仏壇を買ってよいのか。
    もちろん、構いません。仏壇を買う、新しくご本尊をお招きする、というのはとてもおめでたいことです。思い立たれたということは、すでに機が熟しているということ... どうぞ自信をもって計画を進めて下さい。
以上、仏壇についてよく頂くご質問にお答えしてみました。ほかにもご質問などがあれば、どうぞお寄せ下さい。

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