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Q&A 37

質問37

仏教
仏さまに恋愛成就をお祈りしても構わないでしょうか?
〈回答 37〉 私どもが受けた教えによりますと、
「妻子も従類も、自身助けられて念仏申さんためなり。念仏の障りになるべくば、ゆめゆめもつべからず... 自身安穏にして、念仏往生を遂げんがためには、何ごともみな念仏の助業なり」
つまり、念仏中心の生活を送ることが第一であるので、その助けになるのであれば恋愛、結婚も構わない。もし念仏の妨げになるのであれば、恋愛も結婚もいけません——これが法然上人の教えです。もしあなたがすでに念仏信仰に入っておられるならば、このお言葉をじっくり味わっていただきたいと思います。
もしあなたが念仏信仰にまだあまり馴染んでおられないならば... こうお伝えしましょう。あなたの愛の対象が何であれ、その愛があなたの自我を超えて広がってゆくならば、それは宗教心の萌芽... 仏の世界に通ずるものだ、と。
古来、恋愛関係や肉体関係を禁じ、欲望を断じて自覚を研ぎ澄ましてゆくという修行があり、それが出家の本道でもありました。また一方、恋愛や結婚を否定せずに、(出家生活からみて)世俗的な生活の中で初めて起こってくる苦悩、気づきを大切にする修行もあります。そこでは恋愛は、あなたをかき乱す「敵」ではなく、あなたを成長に導いてくれる「導師」といってよいでしょう。他者との一体感の中で体験する歓び——エゴを明け渡す歓びには、宗教と相通ずるものがあります。恋愛を宗教体験にまで昇華させることは可能です。
ですから大切なのは、その関係性の中で自我を超えた広がりを体験できるか、ということだと思います。それは相手を独占したいとか、相手に自分の思い通りに振る舞って欲しい、というエゴの願いとは無関係です。心から相手の幸福を願うこと、相手の自由を尊重すること、またそのような体験をさせてくれた出会いに感謝を捧げることでもあります。
こうした祈りであれば、仏さまは悦んで受けとめ、温かく見守って下さるでしょう。

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