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Q&A 40

質問40

仏教
仏教ではなぜ「人生の実相は苦である」と説いているのでしょうか?
〈回答 40〉 「苦」は、仏教の教えの出発点です。四門出遊の話をご存じでしょうか。お釈迦さまが出家される前、東南西北四つの城門の外でそれぞれ老人・病人・死人・沙門を見かけ、出家へと心惹かれるようになった、というあの話です。
人は、その生涯がどんなに華やかで栄光に満ちていようとも、やがては老い、病気になり、死んでゆく。それは苦しみそのものである。身体的、心理的な苦しみはもちろんのこと、つかの間の楽しみも、それが失われるときには苦に転ずる。ものごとは常に流れ動いている(無常)から、生は本質的に不安定なものである。よって「人生の実相は苦である。」
「では、その『苦』を乗り越えることができるのか。」...「できる、我執を離れることによって。」
「ではどうすれば我執を離れることができるのか。」...「さまざまな方法によって。」
そこから多くの修行法、教え、宗派が生まれてきた——と、私は仏教をそのように理解しています。
ですから、お釈迦さまが「苦」を説かれたのは、何も人を悲観的な気分にさせるのが目的ではありません。人々がおのれの人生の現実を直視し、そこから成長するのを促すためです。ご自身が体験された「悟り」は苦の超克でもありました。

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