QA目次へ

Q&A 61

質問61

仏事一般
東京で生活しています。母が亡くなり故郷の佐渡の浄土宗のお寺より信女の戒名をいただきました。お布施の金額をお寺さんに聞きましたが、「お気持ちで」と言われました。インターネットで調べると「5万位」とありました。浄土宗は金額が低いようですが、相場はおいくら位でしょうか?
〈回答 61〉 布施というのは、一つの「行」です。お金をお包みすることが多いのですが、これは商品やサービスの対価ではありません。「対価」であるならば、相場というものもでてきましょうし、同じ商品を入手したり、同じサービスを受けたりするのであれば、「安いほうがいい」という考えも出てきます。しかし、「布施行」はこれとは違います。
布施行の意義——それは、お金や安定への執着、自己の所有欲に対する執着を手放し、寛大さを培うことにあります。何かを手に入れるためにお金を差し出すのではなく、ただ、差し出す。「ただ、差し出すだけ」——これが布施行の意義であり、功徳でもあります。日常のお金のやり取りとは全く異なります。

実際には、家族を亡くし、葬儀を出したり法事を営む場合にお布施をお包みすることが多いですね。しかし、この布施行の意義や精神を欠いたお布施は、虚しいものです。寛大さを培う、というのは個人の意識の成長の問題ですから、いくらの金額が適当か、というのは他人が示せることではありません。たとえ資産家であっても吝嗇な資産家であれば、小さい金額でも「ただ差し出す」ことに苦痛を感じるでしょう。であれば、その資産家にとってはわずかな金額でも「有意義な」布施行になるでしょう。また逆に、すでに寛大なところがある人は、例え豊かでなくても大きな金額を布施することになるかもしれません。

「インターネットで相場を調べる」のも結構ですが、あなたご自身の「お気持ち」を十分お考えになったうえで、もしもっと大きな金額を布施できるのであれば、そうして下さい。それによってあなたは何の「得」もしないかもしれません。が、得ようと思っても容易には得られないもの——つまり寛大な心、豊かな心に一歩近づけるかもしれません。

ご寄付のページへ