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Q&A 74

質問74

浄土宗
菩提寺(浄土宗)の住職さんは、「念仏だけでよい」といわれます。大きな書店に行くと仏教関係の本がたくさん並んでいますし、『般若心経』の解説本などを読むと「仏教は深遠だなあ」と思います。それなのに「念仏だけでよい」とはどういうことなのでしょうか?
〈回答 74〉「念仏だけでよい」というのは、誠に文字通りだと思います。仏教書に精通しなくとも、人生にはさまざまな出来事が起こります。死別・病気・失恋・失業・人間関係の破綻…それらがそのまま仏道を歩む教材になる。「おのれのはからいを手放すしかない」と気づけば、ほどなく念仏の生活に入ることができましょう。
ただし「本を読んではいけない」ということではありません。あなたの人生を、仏教書を読みながら吟味してみて下さい。それはきっとあなたにプラスになるでしょう。浄土宗の教えにしましても、「なぜ念仏だけでよいのか」「念仏にはどういう意味があるのか」「念仏をとなえるとどうなるのか」というようなことを読書から学ぶことができれば、それだけ親しみを感じると思います。
注意していただきたいのは、頭でっかちにならないこと。例えば、読書を重ねて「色即是空」の意味を頭で理解できたとしても、身体感覚で「空」を知るのは並大抵のことではありません。「分かった!」と思った瞬間、「執着」という名の落とし穴が脇にポッカリと穴をあけています。仏教に興味を持ち、「仏教通」になったが、かえって仏教から遠ざかってしまった、なんていうことにもなりかねません。
くれぐれもご用心、ご用心(自戒を込めながら…)。

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