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Q&A 106

質問106

浄土宗
浄土宗について知りたいと思い、いろいろと調べてみました。調べた結果、浄土宗とは「ただひたすらに念仏をとなえれば必ず極楽浄土へ行ける」ということが分かったのですが、阿弥陀さまは極楽浄土へ導いて下さるだけで、今我々が生きている世界を救っては下さらないのでしょうか?
〈回答 106〉 宗祖法然上人は、あるときこういう質問を受けます。
「摂取の益をこうぶる事は、平生(へいぜい)か、臨終か、いかん」
つまり、阿弥陀仏のみ光をいただき、お救いを頂くのは、普段日常においてなのか、それとも臨終のときなのか。
それに対して、法然上人は
「平生の時なり」
普段日常の時である、とはっきり答えておられます。そして、「お念仏の信者を阿弥陀仏は光明でお照らしになる」、それは、
「平生の時、照らしはじめて、最後まで捨てたまわぬなり。」
平生の時から光明のお導き、お守りを頂くことができる、それが臨終まで続くのだ——
これが法然上人の教えです。

また浄土宗の利益を「不求自得(ふぐじとく)」と言います。これは、お念仏を信じる者は、この現実世界での救いを直接求めなくても、自ずと得られる、という意味です。

浄土宗の教えは、現世利益を旗印にする宗教・宗派とは明らかに一線を画しますが、かといって死後の救いだけを説く教えでもありません。そこに宗教としての深みがあります。
またそこには、「生老病死」を避けられない苦しみと認識し、その苦からの解脱をめざす仏教の原点があります。

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