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Q&A 122

質問122

一般の相談
自分が死んだあとは、冷たく狭い石の部屋(お墓)には入りたくありません。広々とした海に骨を撒いてもらい、自然の中に還っていきたいと思います。どうしてお骨をお墓に納めてしまって、自然に還さないのでしょうか?
〈回答 122〉 お釈迦さまが亡くなられたのち、そのご遺骨(舎利)は仏塔に納められ、崇拝されました。日本のお墓は、この仏舎利をお祀りする伝統を直接受け継いでいるわけではありません。が、やはり仏教の影響もあって、いつの頃からかお墓を造り、ご先祖の遺骨をお祀りするようになりました。
今日では、ご承知のようにほとんど火葬して、お骨をお墓や納骨堂に納めます。最近、散骨や自然葬ということがいわれますが、私の周囲では実例をあまり聞きません。件数はまだ少ないと思われます。

ところで、このごろ体脂肪率や骨量を計れる体重計がありますね。先日、私自身の「骨量」を測ってみました。2.8kg、と出ました。あまりに軽いのでびっくり(体重は64kgです)。火葬した場合、残るのは、この2.8kgのさらに一部分です。
身体中に水分が占める割合は、50〜60%くらいあるそうです。水分はじめ、身体を構成する物質の大部分は、火葬により蒸発?して大気中に拡散してゆくことになるでしょう。水分はやがて雨となって海や大地に降り注ぎます。つまり、わずかな遺骨以外は、すべて自然に還ることになります。また、残った遺骨もいつかは骨壷から空けられて、土に還されます。
目に見える形としては遺骨しか残りませんので、私たちは遺骨を大切にしてお祀りします。が、身体の大部分はすでに自然に還っているわけです。地球の引力圏の中を、さまざまな形をとって循環してゆくことになります。
ですから、あなたの目的が「自然に還ること」でしたら、何も「お骨を海に撒く」ことにこだわらなくても良いのではありませんか。

大切なことは、身体の構成要素がどこへゆくか、ではなく、意識や心がどうなってゆくか、ではないでしょうか。そのためには、この限られた人生をどういう心で生きてゆくか—そちらの方がはるかに重要です。

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