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Q&A 134

質問134

浄土宗
わが家は浄土宗だと思っておりましたところ、良く聞きましたら、西山浄土宗だとわかりました。素朴な質問ですが、浄土宗、浄土真宗、西山浄土宗は何が違うのですか?
〈回答 134〉 浄土宗・浄土真宗・西山(せいざん)浄土宗は、いずれも法然上人の流れをくむ教団です。
平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍された法然上人は、唐の善導大師の教えに強い影響を受け、「極楽浄土に救われることを心から願い、信をもって口に『なむあみだぶつ』ととなえれば、必ず極楽に往くことができる」というお念仏の教えを広められました。無学な者であっても、また罪深い者であっても必ず救われるというので、この教えは様々な階層の人々から強い支持を受けました。
門弟の数も多かったわけですが、これらの門弟のうち、聖光(しょうこう)上人の流れをくむのが現在の浄土宗です。(この流れを、「鎮西(ちんぜい)派」といいます。「鎮西」は、聖光上人のご出身が九州であり、法然上人の教えを受けられたあと故郷九州に帰って布教されたことに由来します)
また、門弟親鸞聖人の流れが今日の浄土真宗です。
そして、門弟証空(しょうくう)上人(西山上人)の流れが西山浄土宗です。
このほかにも隆寛・幸西・長西・源智等といった門弟がおられました。

これらのお弟子さん方は基本的に法然上人の教えを継がれたのですが、やはりそれぞれのお考えを加えながら後代に教えを伝えられました。交通・通信も現代とは比較にならない時代のことですので、これらは歴史的に別々の教団として展開してゆきます。
鎮西派は聖光上人のあと、良忠上人を経て六派が残りました。その六派のなかの「白幡(しらはた)派」が今日の浄土宗(総本山は京都・知恩院)に続いています。
浄土真宗は親鸞聖人のあと、関東地方の門徒の流れと、親鸞聖人の廟所を守るご血縁の流れが発展しました。現在は後者の本願寺派(京都・西本願寺)と大谷派(京都・東本願寺)が大きな派であり、他に高田派・興正派・仏光寺派・木辺派など多くの派があります。
西山派は証空上人のあと四流が残りますが、現在続いているのは西山浄土宗(京都長岡京市・光明寺)、浄土宗西山禅林寺派(京都・禅林寺)、浄土宗西山深草派(京都・誓願寺)の二流三派です。

「それにしても、同じお念仏の教えなのに、どうしてこんなに多くの派に分かれているのだろう」という疑問が起こると思います。
法然上人の時代は、「お念仏だけで良い」という新しい教えと、既存の仏教各宗との違いが問題になりました。その後、さまざまな議論が起こってきます。
「ただ1回だけのお念仏でも往生できるのか」
「信心と念仏行と、どちらが大切か」
「信心はどうあるべきか」
「自力と他力をどう考えるか」
「『浄土三部経』をどう解釈するか」
「救いは今あるのか、それとも臨終の時か」などなど。
これらの解釈の違いや、師から弟子へとつながる系譜の特殊性(それぞれが正統性を主張します)によって、宗派が分かれている。そうお考え頂ければよいかと思います。

…「素朴な質問」へのお答えが、まったく素朴でなくなってしまいましたね。
一番大切なのは、宗派の相違点を知的に理解することよりも、各宗派に共通する「信と行」を体験することです。
阿弥陀さまに心を開き、お念仏をとなえる——この素晴らしさを、どうぞご体験下さいますよう。