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Q&A 170

質問170

仏事一般
 今般、霊園にお墓を買うことになりました。 最近は、墓石に「○○家(之墓)」というような家の名前ではなく、好きな字や言葉を刻めるようです。それで、どういう言葉を刻もうか、迷っています。
仏教的に考えると、どういう言葉が良いのでしょうか?
〈回答 170〉 すでに墓石を建てられている方であれば何も申し上げないところですが、「これから建てるにあたり、どうしよう」というご相談ですので、私の考えを述べます。
墓石は、手を合わせる礼拝の対象です。それは、いわゆる記念碑のようなものではありません。
「○○家(之墓)」という字を刻めば、墓石に手を合わせるとき、ご先祖の諸霊位や仏の世界に対して礼拝することになります。また宗派によって、墓石に「南無阿弥陀佛」「南無妙法蓮華経」「倶会一処」といった字を刻むことも、礼拝する対象として誠に理にかなっていると思います。
霊園に行きますと、確かにいろいろな言葉が刻まれた墓石をみかけます。(地方によると思いますが、首都圏の霊園では最近特に顕著です。)
例えば、「感謝」。これは多分、ご遺族の気持ち—故人に対する気持ちであると思われます。分からないでもありませんが、自分の気持ちを表わす言葉に対して手を合わせるというのは、ちょっとおかしくないでしょうか。「慈」「心」「空」「愛」という言葉もよくみかけます。初めは新鮮に感じますが、まわりに同じ言葉が刻まれたお墓が沢山増えてくると、かえって色あせて見えます。「絆」というのもどうでしょうか。仏さまとの絆でしたらまだしも、乗り超えるべき「執着の絆」に見えてしまいます。手を合わせる対象としても、何か漠然とした感じです。べつにオリジナリティーを求める必要はありませんが、かえってオーソドックスな「○○家(之墓)」「南無阿弥陀佛」などの方が、いつまでたっても古さを感じさせません。
いずれにしましても、墓石は礼拝の対象であるということ、そしていつまでも残ってゆくものであるということをしっかり念頭に置いて、お考え下さい。