謹み敬って、本尊阿弥陀如来、観音勢至諸大菩薩、宗祖法然上人等、一切の三宝の御前に申し上げ奉る。
当林海庵は、かつて我が国の高度経済成長を支えしこの多摩の地に、浄土宗の寺院が一ヶ寺も存在せざりし当時の状況に鑑み、宗門の国内開教施策の一環として、四年間の準備期間を経て、平成十七年九月に落成せし新しき寺なり。
「林海庵」—「林」とは香木の如く清らかなる修行者の集いを表し、「海」は阿弥陀如来の広大無辺なる救いの世界を表す。即ち、小さき庵なれども、ここに集う者が共に念仏し、いつの日か阿弥陀の浄土に救われゆかんという意を表す号なり。
寺の外からもご本尊に手を合わせて頂けるように、また本堂内は居心地良く、心ゆくまで参詣して頂けるようにと、この二つを重んじて建立せり。現在の堂宇(どうう)、この本堂は、開山当時の姿とほぼ変わるところなし。
爾来(じらい)、二十年の長きにわたり、檀信徒並びに地域の皆様との有難き御縁を頂き、共に祈り、共に喜び、共に笑い、また時には共に涙して歩み参りたり。今日(こんにち)かくあるは、林海庵の中心たるご本尊阿弥陀如来の温かき御見守りの賜物に他ならず。
本日、折しも令和七年秋彼岸の候を迎え、過ぎ去りし二十年の歳月に思いを致し、心より感謝の誠を捧げ奉る。また、この二十年の間に林海庵にお心をお寄せ頂きつつ、阿弥陀の彼岸へと旅立たれし方々、その御一人御一人の温顔を偲び西方浄土に心を向け、これより一座の念仏会をお勤めし奉らん。
願わくは、阿弥陀如来の光明がこれまでと変わらず我らを明るく照らし給い、念仏弘通と先祖供養の道場としての林海庵の更なる興隆と、檀信徒一同の安らかなる信仰生活とを、末永く御見守り下さいますよう、心より祈念し奉る。
維時 令和七年九月二十七日
林海庵住職 濶譽泰淳 敬白