コラム目次へ

コラム倉庫

2017.03

 
住職のつとめとは
「お寺の住職さんというのは、どういう仕事ですか。」
 と尋ねられることがあります。内部事情(?)の話になるかもしれませんが、今回は「住職のつとめ」について書かせて頂きます。

 古来、「一掃除、二勤行、三学問」という言葉があります。
 僧侶たるもの、まず掃除をせよ。次は本堂でおつとめをしなさい。さらに時間があるならば、学問をせよ。
「掃除」といいましても(林海庵のような小さな寺はともかく)表通りから山門、庭、墓地、本堂、客殿等をきれいにするとなったら、時間がいくらあっても足りません。特に冬の落ち葉掃き、夏の草取りには骨が折れます。しかし清浄な空間を創るというのは基本中の基本。皆さんもお寺を訪ねると、掃除が行き届いているのに気づかれることでしょう。
 次は「勤行」。清められた本堂で読経をすれば、心も清められます。本堂という特別な環境のもとで、心からのお勤めができる。また日々の勤行が、本堂という場所の宗教性を支えることになるのです。
 そして「学問」。宗門の典籍を学ぶだけでも膨大な量になります。さらに年々出版されている仏教書、宗教関係書に目を通すとなると、とても手が回りません。私などは学ぶべきもの、学びたいものを選んで少しずつ読書しています。あくまでも優先すべきは「掃除」「勤行」です。

 さて、「一掃除、二勤行、三学問」と申しました。確かにそれが原則となりますが、もう少し現代風に言い換えてみましょう。住職(ちなみに、僧侶イコール住職というわけではありません。住職は一ヵ寺を代表する一人だけです)のつとめとは…

(1) 宗教空間のプロデューサー
お寺の中心は何といってもご本尊。そのご本尊を囲む本堂のしつらえを統括します。掃除はもちろんのこと、仏具の配置、音響や照明、空調、香・供花・灯明など、その空間にいると心が落ち着き、自然に仏さまに手を合わせられるように整えます。

(2) 法要・儀式の導師
宗教的空間を管理するだけでなく、そこを舞台として宗教的役割を演じます。日々の勤行をベースとして、檀信徒を前にした行事の主催、また葬儀や法事における導師を勤めます。
法要の予定管理や、名簿・過去帳の整備などの後方事務もあります。

(3) メディアを通じた告知・布教
寺報やホームページなどを通じて情報発信を行い、お寺の行事のご案内や仏教の布教伝道を行います。

(4) カウンセラー
檀信徒や一般の方々のご相談にのります。仏事相談が主ですが、仏事以外の悩み相談にも応じます。

(5) 施設管理者/墓地管理者
寺院という公的な建物・建造物や墓地、駐車場を管理します。清掃・安全(防火・耐震など)への目配りや、必要に応じて増改築も行う責任者です。

(6) 法人の代表役員
寺院=宗教法人の代表役員として法人運営に責任を負います。役員会、総務、財務(税務もあります)などの業務に加え、毎年所轄の都道府県庁に予算決算書類、役員名簿を提出します。

(7) 宗門や本山を支えるサポーター
お寺のことだけでなく、宗門・本山・教区などの上部組織を支える義務を負います。宗派の末端の一寺院として、課金の上納や本山の行事への出仕、宗議会議員や教区役員の選出など、様々な役割を果たします。

 また寺院以外のボランティア活動に参加したり、学者・研究者として仕事をしているご住職もおられます。

 こうして見ると、実に多種多様な仕事があるものです。もっともすべてにわたって毎日カバーしているわけではなく、日々必要に応じてバランスをとりながらこなしております。基本はやはり「一掃除、二勤行、三学問」。

 ところで、ここが一番大切なところなのですが、今後は上記に加えて「終活・看取りのサポート」という仕事が住職・僧侶の果たすべき重要な役割になってくると思われます。
 これについては、また改めて書きたいと思います。 ◆