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2024.02

 
新刊『OTSUTOME』のこと
笠原 泰淳 記(令和6年2月)

 このウェブサイト上でもお知らせしましたように、このたび『OTSUTOME』という本を出版しました。
 内容は浄土宗のふだんのおつとめ、「日常勤行式(にちじょうごんぎょうしき)」とも申しますが、その内容と読み方を英語で解説したものです。
 林海庵で毎月行なっている「楽しいお念仏の会」では、お経本(またはプリント、もちろん日本語です)を皆さんにお持ち頂き、それを見ながら一緒に声を出しておつとめを行なっています。
 浄土宗のおつとめは実によく構成されていています。偈文をここで個々に説明するのは難しい(*)のですが、全体的にいわば「起承転結」のような物語性があって、「転」の部分がお念仏の唱和、ここが最高の山場となります。お念仏を最高と位置づける浄土宗の教義と一致しているわけです。手前味噌ですがこのように優れた構成のものは他宗には見られません。

*) 過去にコラムで一部解説を試みたことがあります。2002年〜06年頃のコラムから探してみて下さい
 またほとんどの内容が漢文ですが、さほど難解ではないので、簡単な説明を補えば、文字を見て何となく意味が分かってきます。
 私が浄土宗のおつとめを学び始めたのは僧侶の修行を始めてからですから、かれこれ35年近く前になります。その内容は難しくはないと申しましたがたいへん奥深いところもあって、今だに新鮮な気持ちで音読することができるのです。

 さて、これと同じ内容のおつとめを、インターネットの会議システムを使ってオンラインでも行なってみよう、と始めたのが「Live OTSUTOME」です。当時は聞き慣れなかったZoomというアプリケーションを使ったスタートでしたが、コロナ禍が始まってからこのアプリを使う人が飛躍的に増えました。
 当初のスタイルを変えずに続けており、今月でもう56回を数えます。このごろは少し厚かましくなって短時間の英語法話を入れていますが、基本は毎月お寺で行なう「楽しいお念仏の会」と同じです。
 海外の方々には、こちらでダウンロード用の材料を用意し、それを各自プリントして使ってもらってきました。ローマ字読みのプリントだけを元に、50分近くの時間を付き合って頂いているわけで「とても有難い」と思う反面、こちら側でももうひと工夫努力する必要があるのではないか—これが今回の出版の動機でした。
 極力、日本語ができない方の立場になって作ったつもりです。またところどころに教義に関連する説明を入れており、浄土宗の入門書としても使えます。
 価格もお求めやすいものにしました。関心のある方、お知り合いに勧めてみたいと思われる方、ぜひご購入下さい。☸

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